多摩新都市的公園前生活記録

竹 内 幸 哉 (たけうち ゆきや)
時代の転換期にあって、若者がしなやかにたくましく人生を切り開いていくために、学びの場をどうデザインするか、教員にできることは何なのかを考えています。
河合塾教育研究開発本部講師 大正大学総合学修支援機構講師 中央大学法学部講師 佐鳴予備校講師 Enjoy Learning Forum 世話人。
初年次教育。日本語読解・日本語表現。哲学。アクティブラーニング。
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宮台真司「適応力」→文学部のメリット→リベラルアーツ→異質な視点を磨く


この項、前回からの続きです。

僕が言いたかったことを宮台真司がうまく言語化してくれている、
という話だった。
(『宮台教授の就活原論』(太田出版))
そしてそれは、
実はもっと別の文脈で僕が考えていたことと重なる、
というところまで書いたのであった。

何年か前、母校中央大学文学部の1年生の講座
研究基礎(1)というリレー講義にパネラーとして招かれたとき、
そこで僕が後輩たちに述べたのは、
文学部の学生の利点についてだった。

文学部卒というと一般的には
就職先がない、
社会に出て役に立たない、
ツブシが効かない、
と不人気であり、
ひょっとしたら、
法学部や経済学部が第一志望だったのだけれど……
という学生もいることだろう。

だがしかし、である。

昨日今日の時代のトレンドを読んだり、
目先の問題解決を考えたり、
短期スパンで成果を出す必要に迫られたり、
一般的に、会社に勤めるというのは
そういうことなのだが、
そういうところから一線を画しているところに視座をおける
それが文学部で学んだ学生が
社会に出て働くときの利点である、と述べたのだった。

一言でいえば、
それはリベラル・アーツを学んだということだとも。
ここでリベラル・アーツとは
教養や人文知のことだと考えれば、
おおよそのところ察しがつくはずだ。

文学部は非常に長い歴史的スパンで
人間文化・社会・文明を研究する。

たとえば、ハイデガーという哲学者は
プラトン以降の西洋文明は、
偉大なギリシア思想からの没落の道だったという。
つまり、2500年間という長いスパンで
歴史を遥かに見わたして文明批評をするわけである。

いま―ここの相対化、
多様な視点とか複眼思考とか
いろいろな言い方ができると思うが、
これこそ、人文知=リベラルアーツの優れている点である。

リベラルアーツは、これまた古代ギリシアにまで遡る古い概念で
「自由七学科」などと訳すが、
ここではそれはおいておく。
むしろ僕は誤解を承知であえて「超訳」してみたい。

リベラルアーツ=人の精神を自由にする技法

これは周回遅れを自認することであり、
時代の流れには乗れないかもしれないが、
逆に時代と心中しなくてもすむ。
適度な距離をとりつつ時代と関わることができる。

時代の大きな転換期を迎えている現在こそ、
そうした文学部的知性が必要なのではないか……

そんな話を、
かつて僕が学生時代に
一般教養の哲学(木田先生)・社会学(村井先生)・音楽(別宮先生)
などの講義を聞いた階段教室で
後輩たちに語ったのだった。

それを宮台風に言い換えれば、
社会なり時代なり企業なりに
「過剰適応」してしまうのではなく、
どんな社会でも時代でも生きていける「適応力」が大事だ、
ということになる。

東京成徳大の授業で取り上げた瀧本哲史も次のように書いている。

《プロフェッショナルの条件は、まったく新しいテーマにぶつかったとき、それを学んで解決策を提示していくことにある。そのためには大学では徹底的に「リベラルアーツ(教養)」を学ぶことが必要だ。》
瀧本哲史『君たちに就活で勝ち抜く「武器」を配りたい』(「週刊東洋経済」2011.11.5)

実はこんな話をしたくなったのは、
学生たちがこんなことを話していたのを聞いたからだ。

「子ども学部」に在籍することは、
一般企業に就職するうえでメリットにはならないのではないか、
なんで自分はいまここにいるのだろうか、
進路を誤ってしまったのではないか、

そんな話だった。
だけど、
ここで書いた内容はそれへの僕なりのメッセージである。
むしろ子ども学部だからこそ、
独自の視点から世界を語る言葉をもっているはずだ。
他学部にはない異質の視点を肥やしにしていけるはずだ。

それだけではない。
われわれ予備校講師は
第一志望に合格しなかった生徒に関して
アフターケアができない。
そもそも教え子がどこの大学へ進学したか、
全く知りえない。
必ずしも所期の目的を達成できなかった教え子たちにも、
同様のことを言ってやりたい。

つまり何大学であれ、何学部であれ、
宮台の言う「適応力」をつけるために
リベラルアーツを学ぶことはできるはずだ。
そしてそれを肥やしにして
時代に迎合しない異質な視点を磨いていくことが可能ではないか。

そんな科目は用意されてない?
冗談じゃない、大学は自ら学ぶ場所だ。
時間はたくさんあるし、
図書館にも読み切れないほどの本がある。

だが、どんな方向を目指して学ぶのか?

ここでも宮台の言葉をひとつの指針としたい。

《年長世代の自明性を破る提案を連発しつつ、
相対的に人間関係を台無しにしないで済ませる能力》

ありていに言えば、

従来の常識の枠組みでしか考えられない
おじさん、おばさんを敵に回して
対立摩擦を起こすことなく、
むしろそうした年長世代を巧みに巻き込んで
新しいアイディアを提案、実現させる力、
ということにでもなろうか。

言うは易し、行うは難し、ではあるが。
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| キャリア・デザイン | 17:44 | - | - | 竹内幸哉 (たけうち ゆきや) |
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